生まれは愛知県南部の自然豊かな田舎町。山に昆虫採集に行ったり、男子と一緒に走り回わる活発な子どもでした。両親はじめ祖父母や近所の大人たちにかわいがられながら、伸び伸びと育ちました。自由に何でもやらせてもらえる環境でしたが、父が教職についていることもあり、幼少時から「教師の娘として、世間に対して恥ずかしくない自分でいなければ」という思いがありました。それは、決して強要されてではありません。
なぜなら私は、周りから一目置かれる父親の職業とその存在を誇りに思っていたからです。何も特別なことをしようとしたわけではない。正しいと思うことをやる。間違えていることは正す。そんな単純なことです。いつの間にか規定やルールがあることに安心感を覚えるような人間になっていました。そして周囲からはよく、「真面目だね」と言われていました。ただ、正しいと思うことを強く主張したり求めたりするわけではなかったので、ただただ「地味」な存在だったと思います。
私が変わったのは、当社に入社してからです。入社前後の私を知っている人は口を揃えて言います。「渡邉って変わったよね」と。自分でもハッキリわかるくらい変わりました。田舎で培われた自由な発想力と父の影響で養われた正義感を遺憾なく発揮しています。それができるのは、当社の環境がまるで故郷の地域コミュニティのようにあたたかくつながりが深いから。そして、「全社員が経営に参加する体制」があるからです。当社は、各部門を独立した経営主体とみなし、それぞれが売上やコストを管理しながら収支の採算をとる「独立採算制」を敷いています。総勢30名ほどなので、一部署の人数は2・3人。否が応でも年次や経験関係なく経営に携わります。自分が良い、正しいと思うことを必死に考え、積極的に動くことで会社が変わっていく。大きなプレッシャーがありますが、自分と会社がリアルにつながるこの達成感は、一度知ってしまうともう抜け出せないです。
私は今、経営管理課で経理、総務、人事など経営全般にかかわる仕事をしています。とはいえ、上司と私の2人の部署。正直、2人で抱えられるボリュームじゃないと思ったこともあります。上司が産休のときは、なんと課長代理を任され不安で押し潰されそうでした。しかし同時に、「私がいなかったら会社が回らなくなる。自分がなんとかしないと!」と思いました。失敗もたくさんしましたが、多くの人の支えもあり、がむしゃらに目の前の壁に一つひとつ逃げずに向き合いました。そんな私の仕事ぶりを見て、復帰した上司が「本当に成長したね」と言ってくれたときは本当に誇らしかったです。
さらに驚いたのが、年間の表彰式で社長賞をいただけたこと。「暑い日も寒い日も一人で夜遅くまでよく頑張りました」と社長が涙ぐみながら表彰状を読み上げてくれたときは、今までのしんどかった日々と支えてくれた人たちへの思いが一気に溢れ、涙が止まりませんでした。私はこの会社が好きです。だからこそ、自分の手でもっと良くしていきたい。当社はこの先、株式上場も視野に入れています。そうなると一気に知名度も上がるはず。そんな未来に思いを馳せながら、私はさらに進化し続けます。